わかりやすい日本語を書くために
語句と文字の選び方

接続詞の使い方

長い文章を書き慣れていない人に多いのが、「書いているうちに自分で何を言いたかったのかわからなくなってしまった」という状態です。書いていてそういう状態に陥りそうだなと思ったら、いったん「他人に考えを伝える」ことは置いておき、「自分が考えをまとめる」ために書くことに徹するべきです。
その際に注意すべきことは、接続詞の使い方です。文章を書く際に、たいてい多くの人は、思いつくことから順番に書いていくと思います。そうすると、自分の書いた文に刺激されて、新しく書きたいことが頭のなかで閃きます。そしてその新しく閃いたことを、また思いつくままに書いていく。こうして書いていくことで、「自分が考えをまとめる」ことができるはずなのですが、「何を言いたかったかのかわからなくなってしまう」のは、接続詞の使い方が誤っているか、不要な接続詞を使ってしまっているせいであることが多いのです。
よく使われる接続詞を分類すると、

順接型
 全文の内容を条件とするその帰結を後文に述べる型。
 だから・それで・そこで・そのため・すると・その結果  など
逆接型
 前文の内容に反する内容を後文に述べる型。
 しかし・けれども・だが・それなのに・ところが・それが など
添加型
 前文の内容に付け加わる内容を後文に述べる型。
 そして・それから・それに・さらに・しかも・また など
対比型
 前文の内容に対して対比的な内容を後文に述べる型。
 いっぽう・逆に・それとも・または・あるいは など
転換型
 前文の内容から転じて、別個の内容を後文に述べる型。
 ところで・さて・では・ともあれ・それはそうと など
同列型
 前文の内容と同等とみなされる内容を後文に重ねて述べる型。
 すなわち・つまり・要するに・せめて・とりわけ など
補足型
 前文の内容を補足する内容を後文に述べる型。
 なぜなら、というのは、だって、なお・ちなみに など
連鎖型
 連鎖型前文の内容に直接結びつく内容を後文に述べる型。

の8つのグループになります。
さらに別の視点から、

対等の接続
 さまざまな意味あいで語句を並べ立てる。
 そして・また・さらに・しかも・つまり・すなわち など
承前の接続
 前件を前提ないしは先行条件として、後件に結びつける。
 すると・それから・ならば・でなければ・だから・なぜなら・しかし・でも・
 ところが・たとえば など
転換の接続
 それまでの文脈や話線を断ち切って、新しい話題を切り出す。
 とにかく・ともあれ・さて・ところで・それで・では など

さらに、

反予想型
 もっとも・ただし・でも・ところが・だが・しかし など
確認型
 ようするに・つまり・すなわち・なぜなら・とにかく など
順接型
 それで・そこで・だから・そのため・したがって・すると など
新話題型
 では・それでは・ところで・さて・たとえば など
累加型
 それから・そして・しかも・さらに・また・いっぽう など
対比型
 それとも・あるいは

といった機能からの分類もできます。これらの分類を見ると、何となく分かったような気になり、接続詞の使い方は簡単なように思えるのですが、実際に使うとなると大変難しいのです。
学校の試験で次のような問題が出されたとした、どのような接続詞を使うのでしょうか。

メロンは値段が高い。(      )味はいい。

可能性として考えられるのは、「だから」、「しかし」でしょう。「だから」は順接、「しかし」は逆接の接続詞とされていますので、全く反対の性格を持つものです。しかし両者社とも間違いとはいえません。では、

メロンは値段が高い。(      )味はいい。
メロンは値段が高い。(      )味はわるい。

この問題では「しかし」が使えます。文章の意味は正反対ですが、使える接続詞は同じになります。もし接続詞が単純に論理的なもので、前の文と後の文の文脈で使う接続詞が決まるのであれば、このような問題は発生しません。だからといって接続詞が非論理的なもの、ということではありません。接続詞の前提となる論理は複数あり、どの論理を採用するのかは書き手に掛かっているということです。
このように、どの接続詞を選択するのか、という問題に加え、どの位置に接続詞を挿入するのかという問題があります。接続詞の入る場所によって、文章そのものの分かりやすさが変わってくるからです。「すなわち」が使われている読み手は、「直前の文章の要約、あるいは言い換え」と考えるし、「たとえば」があれば「例題がくる」と考えます。このように接続詞は単に文と文を繋ぐだけでなく、先行文脈と後続文脈の関係を明示する関係構成機能を持っているのです。
分かりやすい文章、読みやすい文章を書くとき注意しなければならないのは、どの接続詞を使うのか、ではなく、何処に使うのか、に視点を置く必要があります。