わかりやすい日本語を書くために
日本語特有の曖昧表現

主語がはっきりしないための曖昧さ

曖昧表現の代表要因の一つに、主語がはっきりしないことが挙げられます。日本語は主語を省いても文として通 じてしまうことが多く、主語なしの文が多くなります。しかし、主語を書いておかないと読み手に誤解を与える可能性があるときには、必ず主語をいれることで曖昧な表現を回避できます。また、主語はあっても述語との対応がはっきりしないことがあります。和文調のだらだらした文章にこのようなことが発生しがちですが、この問題はあまり長い文を書かないようにすることで解決できます。
なお、文を書くとき、主語を省いてもいいとき、悪いとき、省いた方がいいときをはっきりさせる必要があるのです。がしかし、残念なことに、この問題に関しては諸説があり、また言語学者の中でもそれほど関心が高くないために、定説がありません。基準は読み手が誤解せずに読むことができるかどうか、にありそうです。
1.私は昨日国立競技場に行きました。
2.昨日は私も国立競技場に行きました。
文章1の主語が「私」、というのは誰でもすぐに分かることでしょう。では、文章2はどうでしょうか。助詞の「は」の前にあるのが「昨日」ということで、主語は「昨日」なのでしょうか。しかし、国立競技場に行ったのは誰なのか、と考えると、文章2も主語は「私」であることがはっきりします。英語では、多くのケースで文頭に主語がきます。「名詞+動詞+名詞」のような語順では、最初の名詞はいつも主語になります。それに対して日本語は必ずしも主語は文頭にはきません。「文章を先生が書く」のように目的語が文頭にきたり、「先生が文章を書く」のように文頭に主語がきたりします。 したがって、日本語では「〜を」や「〜が」などの助詞を手がかりにしてどれが主語でどれが目的語かを判断することになります。つまり、日本語は意味から主語を判断するのです。この主語が曖昧になっていると、書かれている内容を正確に読み取ることは難しくなってしまいます。